ギガファイル便で音源を送るときの手順と注意点
日本のMIX依頼では、音源の受け渡しはたいていギガファイル便です。使い方で迷うところは少ないぶん、事故が起きる場所は決まっています。期限、パスワード、そして何を入れるか。ついでに、転送で音質が落ちるかという疑問にも答えておきます。
MIXが上がって、あとは渡すだけ。ここで手が止まる人はいませんが、あとから面倒になる送り方はあります。期限が切れて再送、パスワードが分からず問い合わせ、10個のファイルを前に「どれを聴けばいいですか」と聞かれる。どれも送る側の数十秒で防げます。
送付文だけ必要な方はそのまま使える送付文へどうぞ。
何を入れるか
確認してもらうためのリンクなら、入れるのは聴いてほしいものだけです。
- MIX本体。WAVで送ります。24bitでも16bitでも、書き出したままの形で構いません。
- インスト(オフボーカル)。使う予定があるなら一緒に。あとから頼まれるくらいなら最初に入れておくほうが早いです。
- パラデータや素材。これは分けます。相手が今すぐ使うものではないので、確認用のリンクに混ぜると邪魔になります。
MP3を確認用に添えるかどうかは相手によります。スマホですぐ聴きたい人には親切ですが、MP3だけを聴いて判断されると、低域や高域の印象が実物とずれます。両方入れるなら、ファイル名でどちらが本体か分かるようにしておきます。
保持期限は必ず延ばす
既定は7日です。この日数で困るのは、依頼者がじっくり聴けるのが週末だけ、という場合です。金曜に送って、次の週末に聴こうとしたらもう消えている。
アップロード画面で変更できるので、余裕のある日数にしておきます。期限切れの再送は、最初に数クリック足すより確実に手間がかかります。相手から「もう一度送ってください」と言われる状態を作らないほうが、印象の面でも得です。
パスワードは別の経路で渡す
ダウンロードパスワードは設定できます。ただ、同じDMにリンクとパスワードを並べて書くと、そのDMが誰かに転送された時点で両方が渡ります。
リンクはメール、パスワードはDM。逆でも構いませんが、経路を分けておけば片方が流れても開けません。未発表の音源を預かっている以上、ここは手間をかける価値があります。
受け取り確認を入れておく
ダウンロードが完了するとメールで知らせてくれる設定があります。「届きましたか」と聞かずに済むので、入れておくと往復が1回減ります。
ひとつ注意があります。通知が飛ぶのはダウンロードが完了した時点で、URLを開いた時点ではありません。相手がリンクを開いて眺めただけでは通知は来ないので、「通知が来ない=見ていない」とは限りません。
ファイル名は相手の画面に並ぶ
自分のフォルダの中では意味が通っていても、相手の画面では文脈がありません。mix_final_2.wav と mix_final_new.wav が並んでいたら、新しいのはどちらか分かりません。
曲名とバージョンを頭に置いておくと、それだけで質問が減ります。
曲名_MIX_v2.wav
曲名_MIX_v2_inst.wav
日付を入れる流儀もありますが、v番号のほうが会話に使いやすいです。「v2の1分12秒あたり」と書いてもらえます。
ギガファイル便で音質は落ちるのか
ときどき聞かれるので書いておきます。ギガファイル便を通しても音質は落ちません。ファイルをそのまま預かって渡すだけの仕組みなので、圧縮も変換も行われない。相手が受け取るのは、送ったWAVと1バイトも違わない同じファイルです。
音が変わったように聞こえる場合、疑う先は転送ではありません。相手の再生環境か、送ったファイル自体が意図したものと違っていたか、あるいは相手がMP3のほうを聴いているかです。
音が実際に変わるのは、配信サービスに載ったときです。そちらは実測した記事 (English)があるので、興味があればどうぞ。
ギガファイル便で足りる場合と、足りなくなる場合
1曲を1回渡して終わり、という使い方なら何の不足もありません。無料で速いですし、相手に何かを登録してもらう必要もない。ただ、修正の往復が始まると、急に取り回しが悪くなってきます。
- 版が増える。v2、v3、v4とリンクが増え、相手の手元にはどれが最新か分からないURLが並びます。
- 感想が散る。音源はギガファイル便、指摘はDM、追加の指摘はLINE。どこに何が書いてあったかを探すのが仕事になります。
- OKが残らない。「これで大丈夫です」がDMの流れに埋もれて、1か月後に出せません。
この3つが出てきたら、渡し方そのものを変えたほうが早いです。回数の取り決めについてはMIXの修正は何回までにまとめてあります。
そのまま使える送付文
案内文は長いと読まれないので、必要なことだけに絞ってあります。
MIXが上がりましたので、お送りします。
[リンク]
パスワードは別途DMでお送りします。ダウンロード期限は◯月◯日までです。MIX本体とインストを入れています。お気づきの点は、まとめてお送りいただけると助かります。「1分12秒あたりのベース」のように時間を添えていただけると、認識のずれを防げます。
よくある質問
ギガファイル便で送ると音質は落ちますか?
落ちません。ファイルをそのまま預かって渡すだけの仕組みで、圧縮や変換は行われません。相手が受け取るのは、送ったWAVと1バイトも違わない同じファイルです。音が変わったように聞こえる場合は、転送ではなく再生環境か、送ったファイル自体が意図と違っていた可能性を先に疑ってください。
保持期限は何日にすればいいですか?
既定の7日は短すぎます。依頼者がじっくり確認できるのは週末だけ、ということも珍しくない。設定画面で変更できるので、余裕のある日数にしておきます。期限が切れて再送する手間のほうが、最初に数クリック足す手間より確実に大きくなります。
パスワードはどう渡すのが安全ですか?
リンクを送ったのとは別の経路で渡します。同じDMにリンクとパスワードを並べて書くと、そのDMが誰かに転送された時点で両方渡ることになります。リンクはメール、パスワードはDMというように分けておけば、片方だけが流れても開けません。
相手がダウンロードしたか分かりますか?
受け取り確認を設定しておけば、ダウンロードが完了した時点でメールが届きます。URLを開いた時点ではなく、完了した時点である点に注意してください。開いたけれど落とせていない場合は通知が来ないので、届いたかどうかの確認としては読み違えないようにします。
パラデータもまとめて送っていいですか?
用途が違うので分けたほうが親切です。確認してほしいのはMIX本体で、パラデータは相手が今すぐ使うものではありません。同じリンクに全部入れると、依頼者は何を聴けばいいのか分からないまま10個のファイルを前にすることになる。確認用と資材用でリンクを分けるか、フォルダ名で区別しておきます。
「これでOKです」を、最短でもらう
Soneam は、音源からリンク1本のレビューページを作ります。クライアントはロスレス音質のまま配信サービスと同じ音量で試聴し、波形に直接コメントを残して、承認までその場で済ませられます。アカウント登録は要らず、確認用にMP3を書き出す手間もかかりません。リンクに期限がないので、承認後はそのまま納品の記録として残せます。